moNo’s note

最近読んだ本,観た映画など,気ままにメモします.

チーズはどこへ消えた? /SPENCER JOHNSON(1998)

チーズを探す2人の小人と2匹のネズミの物語を中心に,その物語を語る人々の会話からなる,全3章のちょっと不思議な自己啓発本. 短いながら,示唆深い内容だった.

2章にあたる物語自体は非常に簡単. 迷路の中で暮らす人とネズミが,食料(チーズ)を探してさまよう. それぞれチーズを探す戦略や態度が異なっていて,もし,チーズが有限な環境下でどういうことが起きるかを示している. 強化学習のlife-long learningに近い話であり,生き残るには,学習率を切ったり,入れなおしたり,忘却が必要なという話にも通じる. 集団ではなく個人プレイを考える上では,面白い思考実験だと思う.

1,3章では,物語の前振りと,振り返りについて,会話する様子が掛かれている. その中で気になったのは「他人から見れば一番頭でっかちな人が,そのことに気付かない」と皮肉ってる下り. チーズを探す話になっているからこそ,共感だったり,気付きが得られにくくなってる部分はある. 気付けるか,は,自分自身に問題意識を持っていたり,抽象化や想像力が必要なのだろう. 記憶型の人々がこういった思考になるべきなのか,なるとしたら何が必要かという議論は,リスクコミュニケーションにもつ通ずる.

この本を読んでから,世の中の安定性について調べようと何気なく近代史に関するyoutube動画を見てみたら,1900年代から2000年代まで,10年刻みで戦争やテロ,金融危機が生じていた. 1900-1940年代は戦争,1950-1980年代は冷戦,1990年代はEUベルリンの壁崩壊・核軍縮ソ連解体,2000年代はテロや金融危機. そうなると,2010年代はAIブームやコロナ,2020年代ウクライナ戦争から始まるXだろうか. 経済戦争(?)も考えると,世界大戦以後,グローバル化の軋轢はあちこちで噴出していて,安定している時期はなかったように見える.

個人的には,「安定がないよなぁ」といいつつ「安定志向な自分」がいるし,頭でっかちだから行動する前にカフェに駆け込んで考え事をし始める. 悪いこととは思ってないし,バランスの取り方と目的次第だから,考え続けないといけないのだろうな.