moNo’s note

最近読んだ本,観た映画など,気ままにメモします.

言葉/アボガド6(2022)

書店の漫画コーナーで何となく気になって購入. 漫画かと思ったらイラスト集.しかし,思いのほか興味深かった.

一部,心の病気や,虐待など,見ていて陰鬱になるものが含まれているせいか,暗い気持ちになりがちで,正直,ちょっとつらい. 見た目では分からない人の事情,外野と本人にしか分からない気持ちのずれ. あまり他人事と思えないのは何故だろう.

一転,陰鬱ではないもので,特に印象的だったのが「愛しい背中」という4枚のイラスト. 猫,犬,子供,車いすの老人を,一人称視点で,背後から見た絵. 子供から,大人への成長を描いたものだろうか. 何故だかぐっとくる. なぜ「ぐっとくる」のかは分からないのが,不思議.

「おとなになれるかな」というイラストも面白い. うなだれる大人の中に,操縦桿を握った子供. あぁ,同じことを考える人がいるんだな,と少し安心する.

「統率」というイラストは中々に皮肉が効いている. 個性と書かれた白線の上に並ばされる子供たち. 周りの大人は,指示したり,満足気だったり. 実際,そういう大人はいるのだろう.

しかし,最後のイラストにだけは,少し疑問が残る. そう「せざるを得なかった大人」は,本当に居なかったのか? それこそ,生徒の前以外でうなだれている大人が,統率せざるをえなくなってるのではないか? こういう疑問が起こるのは,時代的なものなのかもしれない.

表現において完全な中立はあり得ないが…一方に偏れなくなってる時代は,表現の難しい時代だなと感じたし,考えさせられた.