moNo’s note

最近読んだ本,観た映画など,気ままにメモします.

防災ゲームで学ぶリスク・コミュニケーション―クロスロードへの招待/矢守克也,網代剛,吉川肇子(2005)

防災減災において「主体性」を持つためのゲームを提案している. ゲームでは,実際の災害時に遭遇しうるジレンマ的選択肢を突き付け,第三者の目線から,どうしたいか,他人がどう思っているかを共有する. 従来の防防災教育,つまり専門家から当事者への説明ではなく,当事者同士が答えがないことに気づくための道具.

少々疑問な点としては,得点の座布団がもらえる条件. 書籍には,選択肢に対するY/Nの多数派に属した,もしくは,だれも同様の回答がない場合に得点がもらえる. 一般論を推測させる側面と,個人ごとの決定の違いがでると面白いのだろうが,最も面白いのは,「信念」をもって片方の意見が正しい,と言い切る人が,その期待を裏切られるか,だと思う. それ以外の中庸的な人々に対しては,恐らく他人事の視点であり,実際に結び付く保証もない.

それまでの教育の在り方をかえ,葛藤させるという目標は正しいと思う. 次のステップとして,情報化社会を土台とした,もう少し違う形もありえるのかもしれない.

※情報化したところで倫理的決定の問題は残り続ける点では,目指すところを変えられるわけではない.AIと強調し,「気付けるか」という,道具の進化は必要かと思う.