1932年,ナチ政権誕生の手前でやり取りされた書簡. アインシュタインから,人間を戦争から解放できるか,という問いを投げかけ,フロイトが心理学の観点から答える形.
最も興味深いのは,組織や社会では到底利害関係のバランスを永続的にとることはできない.なら個人は?となると,
人から攻撃的な性質を取り除くなど,できそうにもない!
だから,攻撃性を戦争以外の方向に向けさせること. 加えて,文化の発展によって,理性的なコントロールが効くはずだ,ということ.
この書簡から90年,未だ戦争はなくなっていない. どちらにも正義があって,独裁色の強い人は未だに戦争を仕掛けている. 人のつながりが希薄になっているが本当なのだとしたら,人間の攻撃性は今どこに向いているのだろうか. SNS?スマホゲーム? しかし,それだけでは不十分なようで,現に元首相が暗殺された.
つながりが自動化できるまでは,従来的なコミュニティ形成,平和主義的文化促進,攻撃性の受容先の3点が必要なのかもしれない.