moNo’s note

最近読んだ本,観た映画など,気ままにメモします.

永遠の831(2022)

amazon primeで見つけて視聴. 自分自身の閉塞感を言い当てられた気分になった. (ラストは腑に落ちないが.)

大きな流れは,3.11,もしくはコロナ後,831戦線=summer breakerと名乗るテロリストが政府に宣戦布告. 問題に立ち向かわず延々と夏休みの宿題が積まれた夏休み最終日を終わらせる,という趣旨. 怒りを引き金に時間を止められる主人公は,主犯格にその能力を利用される立場. しかし実際は,831戦線は,主犯格の復習と利益のために,大言壮語を実行してるように見せた典型的なテロリストであり, そこに関わった主人公は,命をかけた告発か,口をつぐんで静かに暮らすか,自死か,の三択が突き付けられ,最終的には全てを捨てて,ヒロインのもとに走る.

この映画から感じた重要な点は,永遠の夏休み最終日=三すくみの閉塞感. 時を止める特殊能力でなく,3Dという表現方法でもなく,ましてや主人公の最後の選択でもなないと思う.

終盤,ひきこもりから回復した人について新聞記事が映る. 社会に閉塞感を感じること,ひきこもりで身動きが取れない=人生に閉塞感を感じること,いずれも大きな宿題を抱え込む点では共通している. そんな人々は,何が正しいのか,正しいと思って何かを伝えようとしても無駄,しかし何もしないのは嫌だが,死ぬのも嫌だ. 全てが揃っているわけではないし,対象も違うだろうが,身動きの取れない状況にいる人は意外と多いのではないだろうか.

監督のインタビュー記事を少し読んだが,諦めてしまうのか,それでもと反骨するのか,どういう反応が返ってくるか待っているようだった.

私自身,明確な答えはないし,実際,色々な宿題から目を背けている. 凡庸に対応を考えるなら,真実と言われることを疑いつつ,ベターな判断を積み重ねる.その為には,向き合い続ける必要がある.

一方で世相は,逃げてよい,楽をしてよい,という時代. 宿題を解かなければいけない立場から逃げるには,そこから降りる必要がある.

では,宿題をなかったことにするには…? 小さなコミュニティから始める独立国家をつくるしかないのだろうか. それとも,自死の道しか残されてないのだろうか.

檻の中の葦は考えるだろうか?