moNo’s note

最近読んだ本,観た映画など,気ままにメモします.

考えの整頓/佐藤雅彦(2011)

丸の内の丸善,片隅の紹介コナーにポップ付きであるのを見つけて購入. アイデアだとか,クリエイティブの考え方だとかの括りにあったこと,ピタゴラスイッチを監修している人,ということで,面白うそうで読んでみた.

元の原稿は「暮らしの手帖」に連載した「考えの整とん」(2007-2011). いずれも,色々な物事に対し「よく,これだけ不思議な角度を見つけ出せるな!」と思わされた.

前半を読んだ程度だが,印象に残ったのは「おまわりさん10人に聞きました」「もう一人の佐藤雅彦」「広辞苑第三版 2157頁」「ふるいの実験」.

例えば,「ふるいの実験」. 「この条件に当てはまった方,どうぞ読み進めて下さい」,と,どんどん条件を絞って読者を選別する. 結果,著者の身内以外に該当する人はいなかったとか.

同じものを観測しても,そこに新たな視点を見つけて,さらにそれを人に伝える. それぞれ,「有用」ではないかもしれないが,それでも率直に凄い.

ここで,改めて,さいごにを読み直してみたら,冒頭にこう書いてあった. 「その連載をする上で守っていたことがひとつあります.…必ず自分の心のどこかに引っかかってきた不明なものを見据えようということでした.そして,その不明なものを,この文章を書くことで少しでも明らかなものにしていこうと思ったのでした」 「「面白い」という言葉は,本当のことが分かって,目の前が開けて明るくなるという語源を持っています」 要するに,意図してやっていた.

日常的に科学に触れる立場にいると,面白い=結果であり,その道筋を精査することが当たり前になる. 「使える」「成果がでる」という軸ではなく,「何となく,胸に突っかかるものがあるよね,これって何なんだろう」という軸を提示されても,これまでは何も引っかからなかった. しかし不思議と,この本には,心に引っかかり,読む気にさせられた. この差はなんなんだろう.「身近か?」がキーワードなのか?